○月×日(日)
今日、華武高野球部は珍しくお休みだった。
ピクニックに行こう!
晴れ。物凄く晴れ。雲一つ無い晴れ。イコール晴天。
こんな日はピクニック日和ですよねvvと、言う少女の一言で、この物語は幕を上げる。
華武高校正門前には、ある意味、有名な人が揃っていた。
野球部、3年屑桐 無涯、2年朱牡丹 録、久芒 白春、そして1年御柳 芭唐。
何が悲しくて、男が集まっているのだろうと思う人も居るかもしれないが。
これも全て愛する人の為!!!
彼等はマイ・エンジェル(笑)、1年出雲 日雀を待っていた。
しかし。全ッ然彼女は来なかった。(終)
――――――――――――――
な、わけ無いですけど。
「…遅い」「遅い気〜」「遅いング」「遅いっすね」
……ハァ―――。
誰からとなく溜め息が漏れる。
日雀は30分近くの遅刻をしていた。とにかく遅かったのだ。
「すッ、すいませんッッ!!!」
遠くから、人が急いで走ってくるのが見れる。
ずっと待ちつづけていた彼女だ。
「日雀遅かった気〜(-◇-;)」
「すッ…すいませんッ…ちょ…っと用がッッ…」
余程急いで来たのだろう。
肩でハァハァと、息苦しそうにしている。
「本ッ当にすいませんッッ…!!!」
息を整えながら深々とお辞儀をする。
しかし4人はそれを聞いていなかった!!!!(聞け
全員が
<<私服滅茶苦茶可愛いッッ…vvvv///>>
と思っていたのだから。(変態か
「あのッ…??」
「いや、何でもない…///」
日雀が全員が何処かの世界にワープしてるのを見て声をかける。
そんな彼女も「可愛いッッ…」と思う彼等はぶっちゃけヤバイです。
「で、用って何だったんだよ」
ふと、芭唐が思い出したように問う。
他の3人もそれを(やっと)思い出したのか、日雀を見た。
「え――っとですね…ちょっと十二支に」
「「「「??!!」」」」
説明しよう。
華武の無涯と芭唐はそれぞれ、十二支にライバルが居るのだ!!
だから、妙な敵対心を抱いてる訳で。
(ちなみに録と白春もこの敵対心が移ったと思われる。)
何かと犬猿の仲、なのである。
「何で十二支に行ったイング??!」
「あ、言ってませんでした?私十二支に幼馴染が――」
「聞いて無いよう゛――――――――――!!!」
日雀の言葉を途中で遮り、叫び出す白春。
ちょっとウザかった、と後々日雀は証言した。(日雀:言って無いよッッ;;
「だ、誰だ??!牛尾かッッ??!」
「犬飼じゃねぇよな!!!」
「え…えぇ…;;」
無涯と芭唐の気に気圧されつつも、日雀は答えた。
答えを聞いて、ふぅ、と溜め息を付いて落ちつきを取り戻した――ふりをした!(えぇ?!
「で、誰なんだ?」
「2年ファーストレギュラーの虎鉄 大河ですけど」
「あッ…あのナンパ師??!!!!」
「ナンパ師??!」
そいつは視野に入れてなかったのか、それとも存在自体を忘れてたのか。(酷
どっちにしろ、4人は物凄く驚いた様子だった。
「…で…何の用だったんだ?」
「あ、そうそう。それなんですよ!!」
「?」
日雀がふと思い出したように、4人を見た。
「あのですね。十二支も今日、部活が休みらしいんですね。
それで、何故か一緒にピクニックに行きたいらしいんですよ」
「「「「????!!!!!」」」」
「良いですよね〜?」?」
日雀の突然の申し出に、目を丸くして驚く華武メンバー。
本当は、そんなのは絶対反対だ!!とちゃぶ台をひっくり返したり、
嫌気〜!!!と、携帯で誰かの顔をパパラッチ(?笑)したり、
それだけはダメング〜!と鼻をかませてもらったり(謎)、
死んでも来るな!と自分のライバルに飛び膝蹴りを食らわせてやりたかったのだが。
そんな事は、惚れた女の前では絶対してはいけない、暗黙の了解。(何だ
頭の中でそれぞれのライバルを瞬殺した後、清々しい顔で、
「…良い」「良い気〜 (*^▽^*)」「良いング」「まぁ良い」
と答えたとか。
「良かった〜♪あ、きっともう少しで来ますよvv」
日雀がそう言った瞬間。
何処からとも無く爽快な音楽が!!!!
「グッドモーニング日雀君!!!!」
ベンツが3台、彼女達の前に止まり、ドアが開き人が出てくる。
その時の第一声がこれだった。
「う…牛尾さん…おはよう御座いますvv」
「今日はお誘い有難うvvまさに君は僕だけの天使だよッッ!!」
「え…有難う御座いますvvv(?」
日雀の手をぎゅうっと握り締めて、キラキラオーラを放つ牛尾 御門(十二支主将)。
それに答えるかのように、日雀も笑顔で挨拶を交わす。
一瞬、そこに立ち合わせた全員(華武・十二支)が、不快を顔に表した。
もちろん、彼女GETの為、すぐにその殺気を抑えたのだが。
「HAHA〜N☆日雀相変わらず元気だNa」
そこに、偶然と言うか必然というか現われたラッパ調なしゃべりの少年。
そう、彼が噂の虎鉄 大河―日雀の幼馴染という美味しいポジションを手に入れている―だった。
「大河!ひっど〜…いつもいつもソレばっかり…」
それに、さっきも会った時言ってたよね?と付け足しながら日雀が喋る。
ぷぅ、と頬を膨らましながら虎鉄の方に近寄っていった。
犯罪的に可愛すぎるッッ・……!!!!(一同
「くぉらぁ!!『いつも』ってどういう事だ――――!!!!!」
十二支一、外見はマトモだが、性格が秀でて変態な猿野が講義の声を上げる。
「落ちつくっす、猿野君――――!!!!」
と、被害者兼ストッパー兼ツッコミ役の子津。
今回も、彼を一生懸命止めていた。
「只の幼馴染イング」
日雀と虎鉄の代りに白春が言葉を返す。
特に「只の」を強調してたのは気のせいではないだろう。
「そうなの―?虎鉄先輩」
ニヤリ、と黒い笑みをこぼしながら虎鉄に比乃が声をかける。
ちなみに、他のメンバーも全員、そんな笑い方をしていたのだが。
「ま…まぁNa。妹みたいな感じDa」
「ちょッッ…どっちかっていうと姉でしょ!!いつも世話焼いてるの私じゃん!!」
『幼馴染』という単語に、少し安堵していたメンバーが凍りついた。
あッ…明かに他の誰よりも楽しそうじゃ無いですかッッ…!!!
――この時、全員は頭の中で虎鉄を血祭りにした。
「とりあえず…虎鉄先輩は日雀の事をどう思ってる」
「って日雀の事呼捨て気――――――(¬ε¬)!!!」
犬飼の「日雀呼捨て発言」に思わずツッコミをいれる録。
この後、目で殺されました。
「だから…妹?」「姉だってば!!」
「ラブではなく、ですか?」
「普通に妹だNa」
「絶対っちゃ?」
「猪里まで…本当だYo!!」
この言葉を聞いて、皆が安堵の声を漏らす。
おそらく、虎鉄が一番邪魔だと本能的に悟ったからであろう。
しかし、その後の虎鉄の発言に、また再び凍りつく事になった。
「まぁ俺はシスコンみたいだけどNa☆」
ピッシ――――――ン!!!!
この時、誰もが思った。
こいつを一番に殺るッッ……!!!!!
その不気味な空気を察したのか、日雀が止めに入る。
「ちょッ…皆さん喧嘩は駄目ですよッッ!!!ね!!!!」
慌てた様子で、皆の顔をおろおろと見まわす。
そんな彼女も「可愛い……vvv」と思う彼らは、もう逝って良し!ですか?
「日雀、ピクニックには行かないのか?」
「芭唐君」
何気に腰に手を回しながら(爆)芭唐は日雀に尋ねた。
皆に物凄い形相で睨まれながらも、意気揚揚としている。
……あんた、後で屑桐さんからトルネード喰らいますよ?
「う、うん。行くけど…皆さんも大丈夫ですよね??」
「「「「「「「「「「「「「「もちろん!!」」」」」」」」」」」」」」
人数多ッッ!!!!!
そして、綺麗にはもったのに、ちょっと感動した日雀。(するな
にっこりと笑って、じゃぁ行きますか♪と言って歩き始める。
その後、彼らの、彼らによる、彼らのための、日雀争奪戦は延々と続いたとか。